私は作業療法士として働き始めて8年目になりました。
新人の頃は、それはもう様々な失敗や患者さんに多くの迷惑をかけました。
そんな失敗の中から今回は、インフォームドコンセントを怠り拒否になってしまった事例について紹介します。
インフォームドコンセントとは
患者・家族が病状や治療について十分に理解し、また、医療職も患者・家族の意向や様々な状況や説明内容をどのように受け止めたか、どのような医療を選択するか合意を得る事です。
リハビリの現場では、
病状や患者さんの訴え→評価→治療
このプロセスをたどり評価と治療の際に説明し合意を得ながら行います。
例えば肩を痛めている方とします。
訴え:右肩が痛い→評価:頭上まで動かした時に痛い、脇の筋肉が固い→治療:筋肉を伸ばす
といった感じです。
股関節の手術をしたDさん
Dさんの訴えと実際に私が行った事について触れていきます。
入院当初
Dさんは、股関節を怪我した方でした。
入院されてきた当初は、股関節の痛みがあり、
Dさんの訴えとしては、「寝ていても股関節が痛い」とのことでした。
この頃は、訴えに合わせて股関節を中心に介入をしていました。
そして、治療前には病状の説明と治療の同意を得ていました。
入院から3週程度
股関節の痛みもなくなってきましたが、歩く際に痛みが残っていました。
Dさんからは、「歩く時の痛みが気になる」でした。
私は評価の過程で、Dさんの股関節の痛みは腰にあるのでは?
と考えていました。
この頃になると、Dさんとの治療に
慣れ
が出てきており、私は治療の説明をせずに腰の治療をし始めました・・・
クレームが出た!
ある日、私は上司に呼び出されました。
上司「Dさんの治療は最近上手くいってる?」
私「特に大きな問題はないかと思います。」
上司「実は…Dさんから担当を変えてほしいとのクレームがあった。」
私は上手くやっていたつもりだったのですが、
上司によると、Dさんから、
「何をやられているかよくわからない。こんな状態で良くなるのか?担当を変えてほしい」
との話があったようです。
頭を何かで叩かれたような衝撃が走りました。
8年たった今でも、鮮明に覚えています。
上司からの助け舟
クレーム報告を受けた後
上司「私が一回、一緒に治療に入って、本人と一緒に治療内容を見直すから、がんばろう!」
私は内心、「気持ち的にきついので担当変更をしてくれ!」
と思っていました。
しかし、「今ここで逃げたら一生後悔するぞ。」諭された事もあり、上司の提案を受け入れました。
上司の指導当日
私は緊張していましたが、
上司はお互いに遺恨が残らないよう、丁寧にDさんへの説明と私への指導をしてくださいました。
Dさんの表情も綻び、私は一安心したのを覚えています。
その後・・・
以前と同様とまではいきませんが、Dさんには退院日まで関わらせて頂くことができました。
自分本位になっていた事を反省したのは勿論の事
Dさんや上司の懐の広さに感動したのを覚えています。
まとめ
インフォームドコンセントは、どの職種にとっても重要なスキルです。
患者さん、一人一人違いはありそれに合わせる必要もあります。
・自分本位にならない
・患者さんファーストの治療を心掛ける
・具体的根拠を示しながら説明する
これらを改めて感じさせてくれたDさんでした。
以上参考になれば幸いです。
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